今の時代、大学生の半数が奨学金を利用しています。社会に出てから困らないように!「大学に行くことは投資である」と考える先生や親、そして高校生である本人も少なくありません。
しかし、奨学金は、100万円から300万円という借金!・・・借りたお金は、働いて返さなければならない。今、この奨学金が返せないという「奨学金破産」が社会問題になっているのは、ご存知ですか?
FP(ファイナンシャルプランナー)として、何が問題化しているのか?について、お話していきます。
奨学金は、借金!目的もなく、なんとなく奨学金で進学するのはやめよう!!
「奨学金破産」という言葉を聞いたことがありますか?
これを読んで下さっている方の中には、社会人になって、今も毎月奨学金の返済をしている方もいるでしょう。今は、大学へ進学するために、半数の学生が奨学金でお金を借りているデータがあります。
これから奨学金を利用しようとしている高校生の皆さまや親御さんへ そんなにみんな奨学金で大学に行く時代なんだから、うちも借りていくことに抵抗は下がっているかもしれません。しかし、奨学金は、借金約100万円から300万円を背負うということを本当に実感しているのでしょうか?
大学卒の半分は、借金というハンデを背負っている事実
大学を出て、社会人になれば、いくらでも返せる?
現在、進学を検討している親の世代は、バブル前後の世代。その頃学生だった親のご両親は、「大学費用までは親が面倒みる」という価値観の人が多かったかもしれません。いい大学に入って、いい会社に就職すれば、後は会社が一生面倒を見てくれて、老後は年金という形で国が面倒みてくれるという世界の中で生きていた。
子供の教育費が上がると共に、親の収入もあがり、金利もよかった分、銀行に預けているだけで、ある程度の教育資金も用意できる環境だったのかもしれません。
しかし、現在は、親の収入が上がるどころか、頭打ち。金利も低いため、預けても増えないというダブルパンチ。
銀行で教育ローンを組むくらいなら、金利の低い奨学金を利用しようと考えるのは、賢い選択なのかもしれません。
奨学金の返済に親が手助けできるの?
少子高齢化で、市場経済が縮小するなか、給料が増えないということが大いに考えられます。親自身の生活がままならないのに、子供の返済の面倒までみれないという状況も視野にいれるべきです。
目的もなく、「単に大学へ行っておけば・・・」というレベルでは、アルバイトや遊びに夢中で、単位がとれず、留年もしくは退学ということもありえるのです。しかし退学したからといって奨学金がなくなるということはありません。
大学の授業料の費用対効果をよく相談しよう。
奨学金という借金を背負って大学に行くのだという自覚が親にも子供にも必要なのです。
自分の学費にいくらかかるのか?子供と一緒に考えることで、学ぶ姿勢だって変わるはずです。時限の授業を受けるのに、いったいいくら払うのか?なんて考えれば、簡単に居眠りなんてできないはずですよね。
卒業はできないのに、奨学金は残る。何も学べなかったという事は、避けなければなりません。ただ単に「4年間就職を先延ばしにする」という考えは最低限捨てましょう。
4年間早く社会に出て、経験を積むということだってありなはずです。
奨学金を借りる前に、学歴がすべてではないと冷静になってみる。
FP(ファイナンシャルプランナー)として、親御さんから「大学を出たからって社会に出て悠々自適にはならないのは知っている。しかし、大学に行かなければ、もっと不利になる」というご意見も頂戴します。
その気持ちは、小生も3人の子供を持つ親として、よく分かります。ここでは、「大学に行くことがいいことなのか?悪いことなのか?」を議論するつもりはありません。
自分が、大学で何を学びたいのか?それに対して、どれだけの学費が費用対効果として本当に相応しかをよく考えて欲しいのです。
進学指導の説明会で、先生のおっしゃっていた言葉
少子高齢化で、学生の人数が減っているのだから、入学試験の倍率だって低いから楽勝?!と思っている親御さんも少なくないのではないでしょうか?
しかし、少子化だからこそ、大学経営も厳しい状況であり、どこも学生数を増やしたがっている。しかし、進学指導の先生が教えてくれました。「全く大学を選ばなければ、行くことだけはできます。しかし、卒業までその大学が存在しているかどうかは、分かりません」と言うのです。「大学には、遊びに行く訳ではない」というまじめな子供たちが増えてきているそうです。留年や退学をしなかったかといって、卒業までに大学がなくなるというリスクだって考えなければなりません。
大学がなくなったからといって、奨学金の返済がなくなる訳ではないのです。
最後に・・・
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
子供の教育資金を貯めてこなかったからといって、「教育ローンを組むよりは奨学金の方がいいや」今は、半分が借りている時代でしょ?と周りが奨学金を借りているからといって、安心している場合ではないのです。
大学までは面倒見るつもりが、奨学金を借りてなんとか社会に出てくれて・・・結婚したからもう親の務めは終わったと思ったら、戻ってきたなんていうライフプランの変化もあるかもしれません。
まだ子供が小さい親御さんは、奨学金をあてにしなくてもいいように、計画的に積み立てる習慣を身につけましょう。
「奨学金は、借金である」と安易に目的もなく進学し、社会に出ても大きなハンデにならないように警鐘のひとつとして、お役に立てたら嬉しいです。
「何が何でも大学に行けばいい」という考えにしばられず、日頃から親子の会話を増やすということも大切かもしれません。