銀行が見ているあなたの会社の4つの指標とは?

銀行が融資先であるあなたの会社の財務状況を常に見ています。

銀行は、良くも悪くも企業にお金を貸すことが生業。そのため、常にあなたの会社の財務状況を見ています。

どこを見ているか知ることで、銀行との上手な付き合い方ができるかもしれません。それでは、銀行があなたの会社のどこに注目しているのか一緒に見ていきましょう。

銀行が見ているあなたの会社の4つの指標とは?

銀行が、融資先である財務状況が安全かどうか4つの指標が重要視されています。

「自己資本比率」「流動比率」「当座比率」「固定長期適合比率」の4つです。では、順番に見ていきましょう。

 

1.自己資本比率とは?

自己資本比率とは、会社の安全性を測るために、最も一般的な指標。総資産に対して、どれだけ自己資本の比率が高いかどうかを表しています。

自己資本比率(%)=自己資本÷総資産×100

自己資本の比率が高ければ高いほど負債(他人から調達した資本)に頼らないで経営しているか分かります。つまり、他人から借りずに自分の力だけで経営ができていることが分かります。

それとは反対に、自己資本の比率が低ければ低いほど銀行の融資など他人から調達しなければならない経営であり、不安定な会社経営と見ざるを得ないと言えます。

銀行はこういうところを見えているのです。

 

自己資本比率は、一般的に30%が目安と言われています。

  • 製造企業における自己資本比率は、中小企業が24.9%、大企業が40.3%
  • 卸売企業における自己資本比率は、中小企業が18.8%、大企業が22.8%
  • 小売企業における自己資本比率は、中小企業が16.0%、大企業が24.0%

引用元:経済産業省(2007.10.1最終更新)

業種によっても、従業員数の規模によっても、目安の数字は異なります。一般的に会社の規模が小さければ小さいほど自己資本比率は低くなると言われています。

自己資本比率を高めるためには・・・

  • 利益を出す
  • 増資をして自己資本そのものを大きくする
  • 総資産を小さくする

という方法があります。

上記3つの中で、総資産を小さくする方法とは?

不動産など高額な資産や不要な資産をなるべく持たないようにすることも視野に入れたい。会社のビルや工場など所有しているだけで、その分、総資産は大きくなります。自社ビルにこだわらず、手放すことで、売却したお金で負債を減らしたり、所有から賃貸に切り替えれば、それだけ総資産は減り、自己資本比率も高くなるというものです。

 

2.流動比率とは?

流動比率とは、会社の短期的な安全性が分かるために、銀行は指標にしています。負債には、返済の期間によって、流動と固定に分かれます。その中で、一年以内のものを流動といい、一年以内に返済しなければならない負債のことを流動負債と言います。

一年以内に返済すべき「流動負債」を一年以内に換金可能な資産「流動資産」でどのくらいカバーできるかを示した指標。この比率が高ければ高いほど返済能力が高く、資金繰りに余裕がある会社であると銀行は見ています。

流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

流動比率は、一般的に200%以上が理想と言われます。

流動比率が100%以内であると言うことは、どう言うことでしょうか?100%以下と言うことは、一年以内に入ってくるお金よりも、一年以内に出ていくお金の方が多いということ。つまり、新たに借金をしなければならない経営であり、銀行は不安定な経営であると見てくるのです。

  • 製造企業における流動比率は、中小企業が125.5%、大企業が131.4
  • 卸売企業における流動比率は、中小企業が118.4%、大企業が114.7%
  • 小売企業における流動比率は、中小企業が151.0%、大企業が81.2%

引用元:経済産業省(2007.10.1最終更新)

 

3.当座比率とは?

「当座比率」とは、流動比率を更にシビアに見た指標です。流動資産(一年以内にお金に換えられるもの)には、在庫も含まれています。在庫を抱える会社の方はご存知のように、在庫がすべて売れるとは限りませんよね。

在庫を含む流動資産には、必ず一年以内に現金にはならない部分も秘めているのです。つまり、在庫を含めた流動資産は、本当の意味での流動的な資産とは言えない可能性もあるので、流動資産から在庫を除いた当座資産で短期的な安全性を見るという指標のことを言います。

また銀行が当座比率を指標として見ているのは、架空資産や不良資産を除外して見たいためでもあります。

 

流動比率が200%が目安に対して、当座比率は100%が目安となります。

当座比率(%)=当座資産÷流動負債×100

会社の規模や業種によって異なりますが、一般的に当座比率が90%を上回っていれば短期的に安全であると言われ、逆に70%を下回っていると支払能力に問題があると銀行は見ています。

FP(ファイナンシャルプランナー)として、中小企業の決算書を見ていると、多くの会社で、役員借入金が短期の借入金として、流動負債に計上されていることが多い。これは会計のルールに乗っ取った正しい仕分けではありますが、役員借入金を概ね一年以内に返済していません。一年以内に返済しないのであれば、長期の借入金、すなわち固定負債に計上した方が、流動比率や当座比率が改善されるでしょう。

数字だけしか変わらず、実態は変わらない?

これだけでも、銀行側からすれば、債務者の格付けは変わり、あなたの会社にとって、有利な条件になるかもしれません。

 

4.固定長期適合率とは?

会社の長期的な安全性を見る指標として銀行は見ています。固定長期適合率は、固定資産のうちどの程度が自己資本と長期借入金でまかなわれているかを示しています。一般的には100%以内が望ましいと言われています。

固定長期適合率(%)=固定資産÷(自己資本+固定負債)×100

なぜかと言うと、固定長期適合率が100%を超えていると言うことは、長期で運用する資産を資本金と長期借入金で賄いきれていない。つまり、賄いきれていない資金をそれだけ短期借入金で補っているからです。

短期借入金で補っている率が大きければ大きいほど、入ってくるお金が一年以上先なのに、支払いだけが一年以内にどんどんやってくるようなものです。固定長期適合率が高い会社は、資金繰りは更に悪化し、銀行は更なる融資を要求してくるに違いないと見ています。

 

ちょっと脱線、固定比率について

長期的な安全性を見る指標に「固定比率」というものがありますが、固定比率とは、固定資産のうち、どの程度自己資本で賄われているかを表した指標です。多くの中小企業は、固定資産を購入するために、資金は銀行から借入れしています。そのために、一般的には、固定比率は、100%を超えています。

固定比率(%)=固定資産÷自己資本×100

日本では、長期借入金は、自己資金に近い性質のものであるという見方が強い。つまり、銀行からの長期の借入は、投資家から出資を受けたお金と同じようなものとして見られているのです。欧米のように、投資が盛んに行われていないので、中小企業は、市場から調達することは、難しい。そのため、一般的には、自己資金で賄われずことは少なく、銀行からの融資によって賄われているため、日本においては、固定比率よりも、固定長期適合率で、長期的安定性を見る傾向にあります。

 

最後に・・・

本日は、銀行が見ている4つの指標「自己資本比率」「流動比率」「当座比率」「固定長期適合比率」をご案内致しました。

「普段の銀行のお付き合いが大切」とおっしゃる経営者も少なくありません。「〇〇銀行のゴルフコンペがあって、それも仕事のうち」というセリフをよく耳にします。それはそれで、大切なお付き合いかもしれませんが、「銀行があなたの決算書のどの部分を見ているか?」を知ることは、もっと大切なことでしょう。

少しでもご参考になれれば、嬉しいです。

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