95歳まで生きるためには、夫婦で2000万円必要。
試算した金融庁金融審議会の報告書について、「老後」・「2000万円」という言葉が毎日繰り返されています。
年金だけでは足りないから、自助努力を!
その議論は、今に始まった事ではありません。
国に不満を言う前に・・・

足らないのなら、足りませんというのは、誠実。
日本は、どうして正直者を目のかたきにして、叩こうとするのでしょうか?
- 「年金制度の崩壊を事実上認めた」
- 「年金が出ないのなら、今までの払った年金保険料返してほしい」
そんな言葉が炎上し、不平や不満を言う前に、以前から「老後の足りない資金は、自分で努力するしかない」と言われてきました。
資本主義の日本に住んでおいて、「国が絶対に守ってくれるはずだ」と騒ぐのはいかがなものでしょうか?
年金保険料の使い道うんぬんは、引き続き国会でしっかり議論してもらいたい。
しかし、今までの保険料を返して欲しいなんて事を認めたら、それこそ年金は崩壊してしまいます。
国の年金は、自動車の自賠責保険のようなもの

自動車に乗る時は、各保険会社の自動車保険(任意保険)に加入しますよね。
これを読んで下さっている人生前向きな皆様は、任意保険に入らず運転する人はいないと願いたいですが・・・
では、国が強制加入を求める自賠責保険に加入した上に、なぜ更に民間の任意保険に加入するのでしょうか?
そう、自賠責保険だけでは、万が一が起こったら不足する事態が起こるかもしれないからです。
果たして事故が起こってから、「自賠責保険だけで足りる」って言ってたのに・・・信じていたのに・・・なんて言うでしょうか?
年金だって自賠責と考え方は同じはずです。
年金だけで老後の生活は足りないのは、昔から言われてきたはず。
それに気づいて自助努力してきた人もいれば、自助努力せず目をふせてきた人もいる。
こんな話が出ると「アリとキリギリス」という話を思い出す。
老後・2000万円の言葉に振り回されてはいけない?

老後・2000万円という議論をきっかけに、現実をみることは必要です。
事実、20代前半の方の「老後が不安」というご相談が増えてきました。
今回の老後・2000万円という言葉が独り歩きする前から、今の若い人たちは、老後が不安なのです。
自分自身(現在48歳)が20代前半の時には、考えられなかったようなご質問が飛び交います。
国は、年金だけでは足りないので、「分散投資が必要」と金融リテラシーが必要と言っています。
確かに金融の知識や判断能力は必要という意見は大賛成です。しかし、金融リテラシー・金融リテラシーと言って、誰にでも「分散投資しましょう」と勧めるのは問題があるように思えます。
国民年金の方は、こちらも併せてご覧ください⇒いくらもらえるの??今さら聞けない国民年金の受給額とは?!
退職金が狙われる?

若いうちに、時間を味方につけ、長期・分散を考えながら投資していくことは賛成ですが、「年金だけでは不足するのだから、退職金を運用しましょう」と勧められて、リスクとは何かも分からずに投資信託を始めたり、持っているお金の配分も考えずに外貨建ての生命保険に一度に移すのは、考えものです。
高齢になってからは、大切な老後の生活資金は、待ったなしのお金!
老後になってから慌てて「運用だ」と飛びついてしまうのは、危険が伴う確立が高い。なぜなら一度減ってしまった資金をリカバリーするためには、何年もかかるかもしれないからです。
投資には時間を味方につけることが王道であり、失敗しないコツ。短期で使うお金・中期で使うお金・長期で使うお金というように、お金を目的別に配分し、それぞれの期間に相応しい戦略を立てることが大切です。中長期的に行う投資と短期で売買、勝負する投機を混同しないようにしましょう。
「ねんきん定期便」をしっかり見よう。

まずは、自宅に届いている「ねんきん定期便」をしっかり見てください。「老後不安だ、不安だ」と言いながら、ねんきん定期便を一度も見たことがないという人も少なくはありません。
二転三転する国のコメントに一喜一憂することなく、現実を直視しましょう!!
- 「意外と出るんですね」・・・という人もいれば・・・
- 「え?これしか出ないの?」という人もいらっしゃいます。
「え?これしか?」という方は、意外と今までの年金保険料もそれなりの額しか払ってこなかったからかもしれませんよ。
見える化することで・・・

「いくら年金もられるのか?」見える化しませんか?
老後・2000万円あって足りる人・足りない人は、本当に「人それぞれ」と言わざるを得ない。
「これから長生きは不安」とおっしゃいますが、健康で長生きする人と病気やケガで療養しながら長生きする人では、必要な資金も大きく異なりますよね。
「年金の運用がうまくいっていない?」「無駄な経費が多い?」など不平・不満を言う前に、まずは自分の現実を見つめたいものです。
運用がうまくいっていない・無駄なものに費やしてきたと国を責めても・・・「こんなことなら、年金の保険料を払わず、自分で貯めていた方がよかった」と言いたくなる気持ちは分かります。
しかし、「自分で積み立てておけばよかった」という人に限って、浪費してしまい貯蓄があまりできていない人は多いでのはないでしょうか?
老後・2000万円で足りるか?足りないか?

足りるか、足りないかは、人それぞれ。
何でも平均で指標を示したくなる国の気持ちは分からないでもないですが、平均はあくまで平均。平均値だけでなく、中央値も見ておきましょう。足りるか足りないかは、家族構成や生活レベルによっても大きく異なります。だからこそ、自分はどんな老後の生活を送りたいかも含めて、見える化しておくことは、とても大切なことなんです。
家族構成や生活レベルによって綿密に計画を立てても、健康状態や生活環境が大きく変われば、必要な老後の資金だって大きく異なるはずです。
こういうことは、夫婦で元気なうちに、よく話あいましょう。「こうなるはずだ」と思い描いていた老後の生活、案外パートナーは、別のことを計画しているかもしれませんよ。(笑っていられるのは、自分だけ?と思っている方は、ご注意)
人生の三大資金のひとつ!大切な老後の生活資金であるからこそ!

人生の三大資金・・・・住宅購入資金・教育資金・老後生活資金・・・この中で、仲間はずれはどれでしょう?
いろんな考え方がありますが、私は老後生活資金だと思っています。
なぜなら、すべての人がそうだとは言いませんが、住宅購入資金と教育資金は、借りることができます。
住宅ローンや教育ローン・・・奨学金など借り方は、いろいろ。
しかし、老後の生活のために、誰がお金を貸してくれるでしょうか?
そうなんです、老後の生活資金だけは、借りられないから唯一リカバリーがしにくい資金。
だから、老後の生活資金は、絶対に失敗が許されないんです。
最後に・・・

年金は、世代間賦課方式ですので、厳密には自分の積立てたお金が将来自分で受け取るものではありませんが、考え方としては、自分の老後を支えるために生まれた素晴らしい制度。
だからと言って、「すべて国に任せれば、老後は安泰である」というのは、幻想であることは、今の子供だって分かっています。
「年金は、絶対に大丈夫だって言ってたじゃないか?!」と騒いでいる方、本当にそう思っていたのでしょうか?
だとしたら、無知にもほどがあります。
国の年金は、自賠責保険のようなもの。一部は負担してくれるけど、それだけでは足りない。
- 最後は国がなんとかしてくれる?と甘い考えを持たない。
- 不安だと騒ぎ過ぎて、大切な老後資金を甘い投資話で一か八かの勝負をしない。
いい大学に入って、いい会社に就職して、言いたい事を言わずに我慢して定年退職すれば、退職金と・・・後は国が面倒みてくれる。そんな右肩上がりのライフプランは、もうどこにもない。
そうであるならば、自分の人生設計を国まかせにしないで、今起こっている問題を見える化し、必要な金融知識をつけるしかないと思うのは、私だけでしょうか?
老後の生活に2000万円という指標。
今回の騒ぎは、ある意味、国が勇気を持って警鐘を鳴らしてくれたとも言えます。