胃が下がっていると、消化不良を起こし、食欲がわかなくなる。ダイエットには、胃下垂(いかすい)になった方がいいなんて思っている人はいませんか?
胃が正常な位置よりも下にさがっていることを胃下垂(いかすい)と言います。胃が下に下がるとは、全体に下にずれるのではなく、胃の入り口:噴門(ふんもん)は同じ位置で、下にまで垂れさがっている状態になるのです。従って、下に伸びたような胃の形になる。
胃の下の部分が伸びて、正常な位置よりも下まで垂れ下がっている状態が胃下垂です。ひどいケースでは胃の一部が骨盤の位置まで下がることもあります。 病気ではなく胃の位置の異常です。お腹の上部はへこんでいるのに、へそ周辺の下腹部がふくらんだ状態になります。
胃下垂になると、胃の蠕動(ぜんどう)運動、つまり、「胃が収縮することで食べたものを十二指腸に送る働き」が弱くなります。そのため食べ物がうまく消化されずに胃の中にたまりやすくなります。ひどい胃下垂の場合だと、消化能力が正常な胃の1/3程度にまで下がるとも言われます。
この影響で”食後の胃もたれ”、”げっぷ“、”吐き気”、”お腹の張り”、”満腹感による食欲不振”、”腰痛”などの症状が現れてきます。消化不良によって栄養が不足すると”肌荒れ”なども見られます。 また、消化を助けるために胃が胃酸を大量に分泌するようになるため、胃炎や胃潰瘍を併発することもあります。
俗に「胃下垂の人は食べても太らない」と言われますが、これは消化不良によって食べ物の栄養が十分に摂取できないことや、膨満感を感じやすいことが理由と考えられます。
引用:『腰の痛み』全解説
「胃下垂だから、食べても太らないの」「いいな」なんて会話が聞えそうですが、やせることとやつれることは、大きく異なるので胃下垂になってやせようなんて思わないようにしましょう。
胃下垂(いかすい)の主な原因とは?
- 先天的な要因
- 胃を支えるためのお腹(なか)の脂肪が少ない。やせている女性に胃下垂の人が多いと言われるのはこのためです。
- 暴飲暴食によるもの
- 肋骨と肋骨の間がせまくなり、胃が本来の場所に収まりにくい。
- 日頃、便秘がちで、出そうとしてお腹(なか)をよくいきんでしまう。
胃を支えるためのお腹の脂肪が少ないことも原因のひとつと考えられているので、やせている女性に胃下垂が多いと言われるのはこのためです。胃下垂になったらやせられるのではなく、やせ過ぎていると胃や他の内蔵も下垂(かすい)しやすいと考えた方がいいでしょう。
腹筋をつけなさいと言われ、一所懸命腹筋運動を頑張っていらっしゃる人も多くみられますが、それだけではなかなか効果が出にくいかもしれません。
肋骨間が狭くなり、内臓が下がり、骨盤の前が開いてしまい、やせているように見えても、ぽっこりお腹(なか)になってしまうかもしれませんね。気持ちが焦っていたりしていると、つい呼吸も浅くなってしまうもの。浅い呼吸は、肋骨の幅がますます狭くなってしまいます。
胸郭(きょうかく)がせまくなると胃と肝臓と心臓が押しあい、場所をとりあおうとします。その中で、一番やわらかい胃が伸びで、下に垂れさがりやすいのです。
内蔵の下垂と呼吸との意外な関係とは?
呼吸は、自律神経によってコントロールされています。肋骨の動きと横隔膜の動きに関係しています。内臓調整療法師会では、吐く時、吸う時、それぞれ動きにくくなっている肋骨はないかチェックしていきます。丁寧に、動きを見ていくことで、息を吸いにくいのか?吐きにくいのか?原因を追及していくことで、自律神経のバランスを調整していきます。
自律神経でコントロールされているところは、通常自分の意志でコントロールできないところ。
たとえば、心臓も、走った後にドキドキすることはできても、自分で「よし心拍数あげるぞ」といって即座にあげられるものではないですよね。しかし、呼吸は自律神経でコントロールされているにもかかわらず、唯一、自分の意志でコントロールできるところ。ストレスや疲れがためって、つい呼吸が浅くなっていませんか?意識すると、浅くなっている自分にびっくりするかもしれません。胸の呼吸などであまり深く呼吸できていないと感じたら、ココロを静めて、ゆったりと息をお腹(なか)から吐ききることも意識してみて下さい。
吸うことに気をとられ過ぎると過呼吸になる場合もあるので、ストレスと共にイライラも吐ききってしまいましょう。ため息をつきそうになったら、もっと吐ききって、深呼吸。
胃下垂だけではない負のスパイラルとは?
以下のことが、どれかひとつでもあてはまると、他の場所にも影響しあってしまいます。
- 胃が下がることで、肋骨の幅がせまくなる。
- 肋骨の幅がせまくなることで、呼吸が浅くなる。
- 呼吸が浅くなることで、ますます内蔵が下垂する。
- 内蔵が下がることで、腸のスペースがせばまり、腸の運動をさまたげる。
- 腸の栄養吸収がそこなわれる。下痢や便秘になりやすくなる。
- 便秘がちで、トイレでいきみすぎて、内臓が下がる。
- 腸の栄養吸収が不足することで、カラダはもっと栄養を求めて食べ過ぎを引き起こす。
- ストレスがたまって、過食に走りやすなる。
- ストレスによって、呼吸が浅くなる。
- 過剰なダイエットで、胃がますます下がりやすくなる。
- 食べ過ぎにより、胃が下がる。
- 胃粘液が出にくくなったり、胃の修復作業ができにくくなる。
- オーバーワーク気味な食生活で、内臓が疲れやすくなる。
- 内蔵の疲れから、肩こりや腰痛、イライラがつのる。
どれから始まって、他も歪むか?
歪む順番は人それぞれ。負のスパイラルにおちいらないように、弱った場所だけを気にするのではなく、全体を見つめると共に、もともとの原因を一緒に探してみましょう。
まとめ
胃下垂(いかすい)になり、消化不良になってイライラしやすい。イライラしやすく、ストレスをためると胃下垂になりやすい。そんな負のスパイラルにおちいらないためにも、ダイエットのために胃下垂がいいなんて思わず、本来の健康と共に美しいカラダのダイエット、ココロのダイエットを心がけましょう。便秘がちな人は、トイレでいきみ過ぎないように。
胃下垂が長引くと本来離れていた胃と腸がくっつきやすくなってしまいます。くっつく期間が長くなると上に引きはがそうと思っても、はがしにくくなってしまいます。気になる方は、早めに専門家にご相談下さい。
胃下垂から活かす胃へ
ココロにもカラダにも優しいダイエットをしたい方は、朝のデトックス習慣もあわせてご覧下さい。